公立のバイリンガル小学校に通い、
日本語力をキープしつつ、英語力を身につける

来豪時期:2006年9月
お子さんの現在の学年:小学校6年生(女)、小学校4年生(男)
小学校:Hantingdale Primary School(日本語とのバイリンガル教育を行っている学校)

お子さんの英語教育が目的で、アメリカ国籍のご主人と2人のお子さんとともに渡豪。当時、お子さんは小学校2年生と幼稚園。

教科書がないオーストラリアの小学校

クリスマスコンサート

ジャパンフェスティバルに参加

バイオリンレッスン

自然動物園への遠足

運動会

運動会で綱引き

Q:渡豪された理由は?

A:メルボルンに移り住んだ第一の理由は、子どもの英語教育のためです。主人はアメリカ出身で英語が母国語ですが、日本に住んでいた時は、日本語で会話をしていたので、英語教育の必要性をずっと感じていました。アメリカ、イギリスを含めた英語圏の学校を探したのですが、治安や教育の質、主人の仕事の都合などで、メルボルンに住むことに決めました。

Q:オーストラリア到着時のお子様の英語力はどれくらいでしたか?

A:オーストラリアに来た当初は、かろうじて挨拶できるぐらいでした。3年半たった今は、日本語力を失うことなく、英語力もかなりついてきました。

Q:お子様が通っているバイリンガルスクールとは、どんな学校ですか?

A:ハンティングデール小学校は公立で生徒数は200人強。英語と日本語のバイリンガル学校で、週に7.5時間の授業を日本語で行っています。日本語の授業の内訳は、L.O.T.E.(Language Other Then English)の日本語のクラス、理科、社会、美術、音楽、コンピュータです。もちろん英語の授業もあります。生徒はオーストラリア人だけでなく、両親もしくは片親が日本人の子どもも多く、学校では英語と日本語が飛び交っています。
日本人の先生、アシスタントの先生が数人いて、日本語の指導にあたっています。そのうちの1人の先生が率いる和太鼓グループは、毎年、州内外のイベントに招待されるほど話題を呼んでおり、生徒たちにも人気があります。子どもたちが真剣に和太鼓に挑む姿は学校の誇りです。

Q:学校に慣れるまでに、どれくらい時間を要しましたか?

A:娘の方はとても社交的で、クラスに日本語ができる子もいたので、その日のうちに馴染みました(笑)。ただ、最初は日本語のできる友達とだけ遊んでいました。息子は人見知りをするタイプなので、学校の友達に馴染むのに数週間かかりましたが、その間も学年や人種に関係なく周りの子どもたちが親切にしてくれたようで、学校から帰ると毎日そのことを報告していました。いい学校だなぁと思ったものです。

Q:小学校では、補修授業などのサポートがありますか?

A:ESLのクラスがあり、そこで英語のサポートをしています。ただ英語が母国語でない子ども達が増えてきているので、サポートが充分行き届いているかは疑問です。

Q:現地校に入学したことで、飛躍的に英語力が伸びたと思いますか?

A:この学校は日本語ができる子も多いため、最初のうちは思ったほど英語力が伸びず、ずいぶん悩みました。同じ時期にオーストラリアに来たお友達は、他の現地校でどんどん英語が上手になっていったので、一時は転校も考えました。でも、今では日本語力を保ちながら英語力も充分ついてきたので、ここでよかったと思っています。

Q:2人のお子様をみて、年齢や性別により語学力の習得スピードに違いを感じましたか?

A:年齢は習得スピードにずい分影響すると思います。娘が小学校2年生、息子が幼稚園の年長の時にオーストラリアに来ましたが、上の娘よりも下の息子の方が英語を習得するのは早かったです。息子は日本語よりも英語の方が得意になりつつあります。上の娘は日本人の友だちも多く、日本語の本もたくさん読みますので、今でも日本語の方が得意です。

Q:お母様はどのようなことで苦労されましたか?

A:子どもの英語力がなかなか伸びないことに悩みました。

Q:現地校に通うようになってから、お子様の様子はどう変化しましたか?

A:「ハンティングデールはどう?」と聞くと、「みんな仲良くてとっても楽しい!」という答えが返ってきます。息子は人前で話すことが恥ずかしく得意ではありませんでしたが、授業で人前で話すことを繰り返すうちに堂々と発表できるようになりました。
はじめは日本語の通じる子とだけ付き合う傾向がありましたが、今では日本人・オージーに関係なく、皆で楽しく遊んでいます。インターナショナルな学校の中で、自分らしく伸び伸びと成長していることを嬉しく思っています。

Q:生徒と先生、先生と保護者の関係などで、日本との違いを感じますか?

A:先生が話している間は絶対に話さない、手を挙げて先生に指されるまで発言をしないなど、授業中はしっかりと子どもを指導しているので、子どもたちもまじめに授業に取り組んでいるように思います。保護者との関係は日本よりもフレンドリーで、先生によってはお互いにファーストネームで呼び合うこともあります。

Q:そのほかに、日本との違いを感じられたことは?

A:以前、息子の日本語と運動のクラスを手伝っていましたが、どのクラスも5〜6人の少人数に分け、それぞれ違った活動をしていました。こちらではよく少人数に分けて勉強する方法を取り入れています。それぞれの能力に合ったことを勉強する個人主義が見受けられます。ほかにも、以下のような違いがあります。
1)クラスの構成の仕方が日本と違い、1、2年生や3、4年生を組み合わせたクラス構成などがあります。これは年度によって異なり、どの組み合わせになるかは年度末に発表されます。
2)学校では教科書を使いません。教科書の代わりに、先生が用意した本やプリント、コンピュータを使います。学期ごとに学校で大きな学習テーマがあり、それに沿って勉強します。これまでに出たテーマは環境、動物、宇宙、歴史、昔話、身体と健康、地域社会などでした。授業は、最初に床(カーペット)に座って先生の話を聞き、それからそれぞれの席について活動を始めます。
3)子どもは2人とも学校でバイオリンを習っていますが、レッスンの時間になると、私がクラスに迎えに行き、授業から引き抜いてバイオリンのレッスンを受けさせ、終わり次第教室に戻すという、日本では考えられない方法で行っています。最初はかなり抵抗がありましたが、個人の意思を尊重する考え方なのだと割り切るようになりました。
4)送り迎えは必ず保護者同伴。そのため、親同士も容易に知り合いになることができます。
5)掃除の時間がありません。掃除は業者が週末に行います。その分、休み時間が日本より長くなっています。
6)基本的に弁当持参で、お菓子も持っていけます。ハンティングデールは金曜日のみ弁当を注文することができます。これは学校によって異なるようで、学校の学食で毎日購入できる学校もあるようです。

Q:小学校留学をしてよかったと思う点は?

A:インターナショナルな雰囲気の中で、人種にこだわらずたくさんの友だちを得て、自分らしく伸び伸びと成長していることを嬉しく思っています。日本から離れて住むことで日本のよさを知り、日本人としての誇りと責任を小さいうちから意識できることが、外国に住む利点の一つだと思います。
語学力の面では、日本人には日本語、他の人たちは英語と、すぐに切り替えられるようになりました。自然に使い分けられるようになったのも、早いうちに言語を学んだからかもしれません。

Q:オーストラリアから見て、日本の小学校教育についてどう思われますか?

A:日本の学校には教科書があるので、何を勉強しているか親も確認できること、掃除の時間があるので自分の身の回りを自分できれいにする習慣が身につくこと、また栄養バランスのとれた給食があることなどは、日本の教育のよさだと思います。

Q:お子様の進路について、現時点ではどのようにお考えですか?

A:私たちの家族は、今後もオーストラリアやアメリカなどの英語圏の国に住むことになると思います。それだけに、日本語も使うことのできるハンティングデールは、英語を学びながら日本語も忘れないという点で、とてもよい選択だったと思っています。

Q:メルボルンは親子で住むのに適した街だと思いますか?

A:そう思います。治安、教育ともによく、緑豊かなとてもきれいな街です。ショッピングやコンサート、食事なども楽しめますし、自然の中へも簡単にアクセスできるので、山や海へも気軽に遊びに行けます。塾はありませんが、習い事やスポーツも充実しているので、放課後や週末に空手、サッカー、水泳、演劇、ダンス、ピアノ等の活動に参加している子どもたちもたくさんいます。のんびりと過ごすにもよし、忙しく過ごすにも充分やることのある街だと思います。

Q:小学校留学を検討している保護者の方に向けて、アドバイスをお願いします。

A:メルボルンには、留学生をはじめ、移民や仕事で海外から移住してきた人たちがたくさんいます。まさに人種のるつぼです。そのような街に暮らして得られるのは英語力だけではありません。いろんな国の友だちを作る、日本と他の国の違いを理解する、日本人としての誇りや責任を持つ、言語の大切さを知る、国際人としての感覚を磨くなど、そういったことを日常生活の中で自然に身に着けていけることが留学のよさだと思います。
最初のうちは慣れないことだらけで、親子ともにいろいろな苦労をすると思いますが、それらも後から考えるといい経験です。長期留学はもちろん、短期留学でも経験をすることで、その後のものの見方や考え方が幅広くなるのではないでしょうか。